【外食広報のブログ】クリエイティブなPRになる!

デジタル化がますます進む中で、次世代広報に必要なクリエイティブなPRについて考えます。

【読書メモ】『世の中を動かす新しい6つの法則』を飲食店で活用するには?を考える

◇今の世の中は「買う理由」の代理戦争

『戦略PR 世の中を動かす新しい6つの法則』
著者は今の世の中は「買う理由」の代理戦争だという。

メディア環境が激変し、あらゆる情報が簡単に手に入る便利なようで処理できないほど情報過多の時代に突入し、たった10年ほどで消費可能情報量に対して選択可能情報量がとんでもなく増えている。

しかも人間の脳は85%が自動運転。
朝起きるときに「さぁ~目覚ましがなったからそれをとめて、ベッドから起き上がり今からのどが渇いた自分のために冷蔵庫をあけて、水を100ml飲むぞ!」なんて意識はしてないでしょう(笑)

日常生活の中で『意識して』動いていることなど15%くらいしかないのだ。

だからこそこれだけ情報がありふれている中で、『買う』(飲食店でいえば『来店する』になる)までのアクションを起こすには相当な努力が必要なのだ。

前回のブログでかいた
そもそも『いい○○』ってなんだろう?にも通ずることだが、発信側の伝えたいメッセージをひたすら発信したとしても『買う理由』までにいく『いい○○』にはならないのだ。

『いい○○』の社会常識を変え、『買う理由』を作り出すことが必要。

そのために『戦略PR』 が必要、そこに気づいた人たちがこぞって購入し、ベストセラーになっているのだろう。 
ここで『戦略PR』について書籍から抜粋してみる。

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○戦略PRは『空気づくり』

企業が主体ではなく、商品が売れるための『空気』、すなわち『カジュアル世論』をつくること。それが戦略PRである。

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小難しく感じるが、要は自動運転ではない15%の部分の人間の脳に少しアクションを起こして『買う理由』を作り、それを空気のように浸透させアクションさせることだと理解している。

情報洪水の中、選ぶのが面倒くさい時代。
SNSの発達と比して情報はコントロールできない領域へ、好き勝手にやらせての時代。
社会関心が多層化し、気になるものはそれぞれの時代。

こんなとんでもなく複雑である種わかりやすいくらいワガママな時代に戦略PRが必要な理由は、『ビヘイビアチェンジ』=人を動かすためである。

◇潜在意識にアクションを超こすPRのピラミッド

単に人を動かす、といってもPRの目的に合わせた階層がある。

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パブリシティ・・・「最近TVや新聞でよく目にするな~」

パーセプションチェンジ(認識変容)・・「○○さんも知ってるらしい、人気なのかな~?」

ビヘイビアチェンジ(行動変容)・・・「よし、行ってみよう!」

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一概にワンパターンではなく、
特定のビヘイビアチェンジは特定のパーセプションチェンジによっておこる。

飲食店で言えば初めての来店と2回目以降(リピート)の来店ととらえるとわかりやすいのではないだろうか?

理論はわかったけどじゃぁどうしたらいいのさ?!と思う方、私もそうだがそこで本のタイトルにもある『世の中を動かす新しい6つの法則』の登場だ。

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1.おおやけ(社会性の担保)
社会課題解決をめざす「ソーシャルグッド」の潮流

2.ばったり(偶然性の演出)
コンテンツが演出する偶発的な「セレンディピティ

3.おすみつき(信頼性の確保)
多様化する「インフルエンサー」の影響力

4.そもそも(普遍性の視座)
「よくぞ言ってくれた」を引き出す本質的な価値転換

5.しみじみ(当事者性の醸成)
「自分ゴト化」させ感情に訴えるストーリーテリング

6.かけてとく(機知性の発揮)
PRクリエイティビティの神髄は「とんち」にある

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世の中の関心テーマが6つすべてに必要なのではなく、1個でもいいしミックスされてい
てもいい。詳しく知りたい方は書籍を読んでほしいのだが、私は外食業として特に「5」の要素が大きいかなと思ったのでそこについて記したいと思う。

まずは書籍にあった一例をとある記事からの引用とともにあげてみたいと思う。

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2016年のカンヌPR部門グランプリを受賞した『食の安全を考える実証実験 2週間オーガニック食品だけを食べてみたところ…』というプロモーション施策。

スウェーデンの大手スーパーマーケット・Coopが『オーガニック食品だけを食べ続けると、人の体にはどのような影響をあるのか?』という実証実験をごく普通の家族に対して2週間、行った。

ごく普通の家族に協力してもらい2週間オーガニック製品を食べ続けたという。

実験を始める前に、スウェーデン環境研究センター監修のもと、まずは家族全員分の尿検査を実施。すると彼らの体内からは、殺虫剤、防カビ剤、植物成長調整剤などの化学物質が検出されたという。この少しショッキングな結果をふまえた上で、食材から調味料まで、口に入れるもの全てをオーガニック食品に変えるという生活が始まった。

そして2週間後。再び尿検査をしたところ、なんと子供たちの体から検出されていた化学物質の数値がほぼゼロになるという、驚きの結果が出たのである。

母親も「せっかく体から有害な成分を取り除くことができたんだから、もう元の食生活に戻したくないわ。」と、今後も続けていく意思を固めた様子。

本取組みは数多くのメディアでパブリシティを獲得し、ソーシャルメディアでも爆発的に拡散。オーガニック食品に対して『体にいいことは何となく分かっている』そんな漠然としたイメージを、数字で裏付けしたこの取り組みにより、Coopは過去20年間で最高の売り上げを記録した。

引用:http://adgang.jp/2016/06/126889.html

これは

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3.おすみつき→実験結果に基づくエビデンスのとれた根拠

5.しみじみ→モニター家族の様子が『自分ゴト化』してしみじみ体感した

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ことから、「子供のことを思うと以前の食事には戻れない」「健康はお金に替えられない」と『パーセプションチェンジ』が変わり、『ビヘイビアチェンジ』としてオーガニック製品を買い求めると行動変容が起こった事例だ。

子供の食育問題はもちろん、大人もメタボ、糖尿病など食生活や環境が時代と共に変化したことで飲食店もただ「美味しいものをだす」だけではなかなか難しい時代になってきた。

安心、安全、それと合わせて安い(これは値段という解釈というよりもコストパフォーマンス、と私はとらえている)が3拍子揃った時、かつ「しみじみ」、「自分ゴト化」して必要だと思えるような『パーセプションチェンジ』を作るとともに、これからの「食」の社会課題にも通ずることでなければいけないと思っている。

消費に対しての考え方も変わってきて『モノ消費』から『コト消費』になりつつある中で食の提供だけではない、体験型のコンテンツとの融合により

外食の新しい価値観を創出していけるよう少しロジックに、でもなりすぎず物事を俯瞰的に見ていき、『ビヘイビアチェンジ』を起こす付加価値の『想像』を膨らませてみようと思う。

次回は今回読んだ書籍の筆者と日本のソーシャルメディアマーケティングの第一人者、トライバルメディアハウス代表の池田氏との共著『ソーシャルインフルエンス 戦略PR×ソーシャルメディアの設計図 (アスキー新書)』
について解釈をまとめて記したいと思う。